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XⅣ.水草『ヒシ』の実
2010 / 12 / 18 ( Sat ) 19:39:43
前回の「水草のある川」の聞き書きをしているとき、ほかの水草に比べてヒシの話題がたくさん登場しました。魚貝類同様、採って食べていたものについての坂野さんの記憶は豊富です。一つ一つ思い起こされる話を記録して、整理して、結びつけて、またお聞きして、そんな作業をしていると、自分も当時の川にヒシの実を採りに行ったことがあるような錯覚がおきてしまいます。ヒシは現在でもわりとふつうに見られるので、想像がリアルになるせいでしょう。
2010年と2011年の秋に、湖岸や川辺で「ヒシの実採り」をしました。胴長を履いて、水深が腰から胸下くらいまであるところです。水が澄んでいたら、とってもおもしろいと思いますが、水が濁っているので、腰から下がなにも見えず、気を抜けない作業になります。湖岸で水質調査をしたときも、水深80cmくらいのところを歩くときは相当神経を使いました。厚みのある暗い水の中から、ぬーっとオオマリコケムシが漂ってくるときは、恐ろしくて一瞬体が硬直してしまうのです。


第14話 ヒシの実 ・・・・・・・☆

河北潟の東側に位置する集落、「潟端(かたばた)」で暮らしてきた昭和4年生まれの坂野 巌さんに、水郷の景観がひろがっていた1950年代頃までの潟端の自然と暮らしについて聞き書きしています。

潟端の農地は江戸時代より受け継がれてきたものですが、終戦後におこなわれた二度の耕地整理により、その姿は大きく変わりました。今は田んぼの大きさや形が規則正しく整備されていますが、当時は四角や三角、丸みのある田んぼで、大小異なっていました。その間を流れる川には、舟一艘が楽にすれ違えるほどの幅広い川もあれば、曲がりくねった細い川もありました。夏場は水草がよく繁っていましたが、その種類も豊富であったように思います。数ある水草の中でも、水面に葉を浮かべるヒシは、夏にヒシの実を採って食べていましたので親しみがあります。栗のような味のするヒシの実は、子供たちの良いおやつになりました。

ヒシの実採り
お盆近くの夏休みに遠くから来客があると、よく子供たち同士で川へヒシの実採りに行きました。家にある掃除用の熊手や、カンコ(漬の枝を取り上げる道具)を持っていきます。道具があると、水面に浮かんでいるヒシを岸にたぐり寄せることができて簡単に採れました。川畔にはナスなどの野菜が植えてありましたので、岸から採る時は野菜を傷つけないよう気を付けました。ヒシはあるところには川一面を覆うほどたくさん生えていました。一株のヒシの葉の裏には、3~4個の実がついていましたので、一時間もいるとイコ(竹で編んだ入れ物)に一杯になるほど採れました。採ったヒシの実は、家に帰って水洗いし、塩茹でしたものを半分に割って食べます。食べ物の無い時代でしたので、子どもたちにとっての嬉しいおやつでした。また、来客には大変珍しがられました。
ヒシの実が採れる時期は、夏の短い間だけでした。それは、お盆前かお盆過ぎにおこなわれる秋の取り入れ前の総人夫(稲刈り前の川の泥上げや除草)によって、ほかの水草と一緒にヒシも取り除いたからです。また、遅くなると実が落ちやすくなることもありました。熊手などで岸に引っ張り寄せた時に、すぐにポロッと外れて川底に沈んでしまいます。でも逆にあまり早くても、花が咲いている頃の実は、まだ小さくて軟らかい状態でした。頃合いを見計らって、毎年ヒシの花が咲きはじめると、時々様子を調べに行ったものです。
そうしたことを抜きにすると、じつはポロッと落ちる頃の実が一番美味しい状態でした。この熟した実を採る時は川に入って、丁寧に葉を裏返し、一つ一つ実を摘みとるようにします。ヒシが生えている場所は、腰か胸くらいまである少し深いところでしたが、手に取ったヒシの下の辺りは、水が透き通ってとても綺麗な様子でした。ヒシが生えているところは特に、水が澄んでいた印象があります。

ヒシの実の採集場所
ヒシには、大きいサイズの実ができるものと、一回り小さいサイズのものがありました。小さいサイズのヒシは、部落近くの大フゴ川のところに多くみられましたが、家庭排水が流入する近くのヒシを食べることはありませんでした。この小さいヒシにも実がたくさんできましたが、黒くて小さく刺々しい印象で、採って食べたような覚えはありません。
大きいサイズのヒシの実は、食べやすいこともあって喜ばれました。部落から500m以上離れた横川へよく歩いて採りに行きました。大きいヒシが生えている川は限られていましたが、横川にはたくさんありました。ヒシは、膝丈や太股くらいまでの浅いところにはあまり生えていませんでした。横川は年中、穏やかな水の流れのある川でした。ヒシは川に自然に生える水草ですので、魚を捕る時と同様に、密かに良い場所を見つけて採りに行くこともありましたが、ヒシが生えているところの側の田んぼの家に一言断って採りに行くと安心でした。 

(「ヒシの実」は、NPO法人河北潟湖沼研究所の発行する通信「かほくがたvol.16-2」に掲載されています。)


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テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

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